聖典、ボカロ(主に初音ミク)歌詞考察

主に初音ミク様が歌っていらっしゃるボカロ曲の歌詞を「言葉通りに」考察していくブログで御座います。「こんな解釈もあるよね」というコメント大好物です。

おばけのウケねらい 解釈+考察

PinocchioP - Ghosts Play to the Audience / ピノキオピー- おばけのウケねらい

第二回、おばけのウケねらいでございます。

この曲、気づく材料は散りばめてありますし、気づくと楽なんですが、気づかないと延々と袋小路に入っていく感じの曲なんですよね~。

実際私も気づくまでに時間かかりました。具体的には4時間ぐらい。

早速解釈から入っていきます。今回解釈ほとんど歌詞は紹介になりそうです。

その代わり今回はピノキオPさんが絵描いてますよね。絵の解釈入れていきます。

〈解釈〉

それ本気でやってんの ねえ おばけを舐めてんの

また枕元 立ってんの もう何回やってんの

「ほら、怖がれ」という態度 「怖がって欲しい」という展望

あなたはどっちかな(知らん) 神はおっしゃる どっちでもいい

 『神はおっしゃる どっちでもいい』でメタ認知を促します。

前奏最後のブラックゴーストミク様、口元だけが動かないですね。

ここを特筆して取り上げる意味や如何に。

いや今回のゴーストミク様短いですね。何が、とは言いませんけど。

フトモモ、マブシイ。

三行目の部分で出てくるのは、道路標識、ポール。「人の流れを制御する物」。

心霊写真はウケねらい 誰でもわかるウケねらい

渋い呪いもウケねらい 玄人に向けたウケねらい

心霊写真は、そりゃまあ誰でも判りますね。

渋い呪い。「渋い」とは「派手にならない落ち着いた趣のあること」。

「玄人」とは「その道に精通した人、職業を極めた人」。

呪いや心霊の玄人……? 歌詞ではここが一つのキーポイントです。

てっとりばやく恐怖与えたい 日進月歩恐怖磨きたい

よそはよそ うちはうち  鬼は外から福は内

 月、向日葵、招き猫。最後のは節分の豆まきの時に必ず言うやつです。

鬼は外「から」福は内。鬼は外、を始まりとしているというのは考えすぎでしょうか?

ただ単に「鬼は外」の次に「福は内」っていうよねーというだけではないと思います。

自分がない 自分がないから浮かばれない

持論がある 持論があるから報われたい

流行りに乗ってるけど好きでやってんの ねえ

それとも魂売って自分殺してんの

 ここはほんとにそのままですね。スカイツリーが出てきます。 

ひゅ~どろろ ひゅ~どろろ

滑ってるのにみんなは称賛

日々労働を のち法要を

続けます わたしの好きなウケねらいを

 滑ってるのにみんなが称賛するのは紛れもなく「ウケねらい」ですね。

「法要」。死んだ人の冥福を祈り供養する仏教用語ですね。

日々の労働の後に法要をする。お、死んだか、という気がします。

 じんわり火が灯るローソク吹き消し

大音量のラップ音ですべてが台無し

 まあそうでしょうね。前半で頑張って雰囲気作ったのに、という事でしょう。

ありがち? いやスタンダード

斬新? いや出オチ

心霊スポットのレビュー 怨念の考察

 「ありがち」を「いや」で否定しておいて「標準」を意味するスタンダード。

ちょっと間違ってやしませんかね。そのあとの「斬新」に「出オチ」はちゃんと逆説できてるから尚更それが強い。

東京タワーでてきました。そのあとにお地蔵、信楽焼

怨念の考察、少し違和感感じませんでしたか? え、感じない? あ、そう。

その方法は受け入れない 
胡散臭いから受け入れない
その発想は受け入れたい
不器用だけど受け入れたい
効率よくテキトーに化けたい
損するけどディテール詰めたい
よそはよそ うちはうち 
大体が絵に描いた餅

 「よそはよそ、うちはうち」はその上の二行の示唆でしょうか。

「絵に描いた餅」は「役に立たないもの」。すごいですね、役に立たんときましたか。

あ、猫とレコード、CDと信楽焼が追加ですね。信楽焼好きですね。

事件がない 事件がないからリアルじゃない

危険がある 危険があるからみんなは期待

悪霊のイッてる感じわざと出してんの ねえ

それとも根っから天才でぶっとんでんの

 下半分は、「おばけがウケを狙う」際の文句でしょう。

通天閣出てきましたね。

ひゅ~どろろ ひゅ~どろろ
嗤ってたのに あえなく降参
意気揚々と 死後ひょうひょうと
わかってるのにやめられぬウケねらいよ

 「嗤う」。嘲り笑う方の言葉ですね。「あえなく」は、「あっけなく」と同義。

あんなに嘲ってたのに、拍子抜けするように簡単に、ということです。

生前から引いてばっかりのはずれくじ
好きだったおばけはどっか行って神隠
やったもん勝ちの許せるラインがぼやけだし
大嫌いなオカルトをみんなが好きでも 
そういうもんだし

 「生前から引いてばっかり」なら今でも引いていますね。

おばけが神隠しとはこれいかに。しかも好きだったおばけとはなんじゃらほい。

後半部分はまあよくあるやつですね。

自分がない 自分がないから浮かばれない
持論がある 持論があるから報われたい
流行りに乗ってるけど好きでやってんの
ねえ それとも 魂売って自分殺してんの

ひゅ~どろろ ひゅ~どろろ
滑ってるのにみんなは称賛
ひゅ~どろろ ひゅ~どろろ
嗤ってたのにあえなく降参
ひゅ~どろろ ひゅ~どろろ
日々労働を のち法要を
意気揚々と 死後ひょうひょうと
続けます わたしの好きなウケねらいを

ばぁ~~

 そして繰り返す。

まあ解釈はこんなもんですか。では考察のお時間です。

〈考察〉

さて、ここで頭におばけの三角のやつ(ごめんなさい名称忘れました)乗せたものを列挙させてみましょう。

道路標識、ポール、月、向日葵、招き猫、スカイツリー、東京タワー、お地蔵さま、信楽焼、猫、レコード、CD、通天閣

分けてみましょうか。

人の流れを操作・・・道路標識、ポール、招き猫(?)

暦に関係するもの・・・月、向日葵

音楽関係・・・レコード、CD

俯瞰するもの・・・スカイツリー、東京タワー、通天閣

そのほか(ただし猫以外は信仰に関係)・・・猫、お地蔵様、信楽焼

猫だけはわからんですね。

通天閣が電波塔なら良かったんですが、そうではないらしいので。

さて、今回の考察は非常に簡潔明瞭です。

現状の「音楽」含むエンターテイメントの「人の動かし方」の「変遷」を「俯瞰」している自分を「おばけ」に置き換えただけです。

 はっきり言ってわかる人には一瞬でわかるので同じように思う人も多いと思います。

「枕元に立つ」のを「もう何回やってんの」と非難するということは、「使い古されたフレーズやコードやなど」への非難でしょう。

お化けに対する「怖がる」は、お化けに対する反応。

では、エンターテインメントに対する反応は? 「楽しむ」でしょうね。

「ウケねらい」は、意味が変わらないです。「ウケ」を「狙うもの」ですからね。

日々の労働の後に法要で救われる。

魂売って自分殺して流行に乗って、でも人気は出なかったり、ありがちか、いやスタンダードだとか、斬新か、いや出オチだとかこういった考察やレビューでギャーギャー騒がれ。

そんな生前と。

ひょうひょうと自分のやりたいことやって、ついてくる人はついてこいのスタイルで。

そんな死後。

そして今、この歌を歌っているのは、死んでから、法要をうけて救われるまでの、

「おばけ」のミク様である。

いや、「モノを作る」ということに対する痛烈な批判やアイロニーを入れつつ、最後は必ず法要で救われる。

ピノキオPさんらしいじゃないですか。

 もう、なんて素晴らしい曲でしょうか。

かくしてボカロは素晴らしい。

こんな知恵を授けてくださる、我らが大いなる初音ミク様、他のボカロの方々に多大なる感謝を。